米労働省は7日、8月の雇用統計(季節調整済み)を発表、非農業部門雇用者数は前月比4000人減となり、2003年8月以来4年ぶりの雇用者数マイナスを記録した。住宅市場の低迷、信用収縮により米景気後退を招くのではないかという懸念が、さらに高まることとなった。
米エコノミストらは、雇用者数の減少で、18日に行われる米連邦準備理事会(FRB)政策決定会合で利下げが行われる観測を、さらに強めた。ダウ平均も、米雇用統計の発表を受け、249ドル安の大幅下落となった。
8月の米失業率は4.6%で前月と同水準となった。建設業、製造業、輸送業で従業員数の減少が示される一方、教育、医療、観光サービス、小売業では伸びを保った。金融サービス部門での雇用者数は前月と同様となった。米経済の健全な成長が行われるかどうか、先行き不透明なことが米雇用者数減少を促進した。
一方、8月の雇用者平均時給は、前月比0.3%増の17.50ドルとなった。過去一年間で平均時給は3.9%上昇している。賃金上昇は、米経済の健全成長を示す主要指標の消費者支出高上昇に寄与する。
しかしエコノミストらは、雇用市場が縮小し続ければ、賃金上昇率もそれに伴い低迷してくるだろうと懸念している。
最悪のシナリオとして、エコノミストらは今年度内に米景気後退が訪れる可能性もあると予測している。米商務省カルロス・グティエレス長官は7日、「景気後退の可能性は低く、我々はこの困難を乗り越え今後も経済成長し続けるものと思われる」と比較的楽観的なコメントを行った。
米経済成長率は、4−6月期に4%の健全な成長率を示したが、7−9月期には半減することが予測されている。さらに失業率は上昇し、今年度末までに5%台に達すると見られている。
特に8月は米工場労働者の雇用者数削減が著しく、4万6000人もの削減が行われた。これは2003年7月以来の削減規模である。さらに建設業界では8月に、過去6ヶ月で最大規模の2万2000人の従業員削減を行った。
8月に生じた信用収縮問題の直接的な影響は9月以降により大きく見られるものと懸念されている。
民主党の次期大統領候補であるヒラリー・クリントン氏は、「8月雇用統計はブッシュ政権が供給側から見た経済戦略しかとっておらず、米労働者の立場に立った政策を行ってこなかったことの証拠だ」としてブッシュ政権の経済政策を非難した。クリントン氏と並んで民主党の次期大統領候補として有力視されているバラック・オバマ氏も、「ブッシュ政権は数千人もの米国民が持ち家を失う危険に直面させた。今、それが米経済全体に影響している」と今後の景気後退を懸念するコメントをしている。